〈はじめに〉 

自己肯定感の低さ、感情の起伏の激しさ、不安や緊張、生きづらさ、アダルトチルドレン、うつ、各種依存症、境界性パーソナリティー障害、引きこもり……などなどの背景にある「愛着」の問題。「愛着」は人格の基礎部分を成し、人と人との絆を結ぶ力であり、幸せに生きてゆく上で欠かせないものです。心身の諸症状や人間関係のトラブルの根底にある、不安定な「愛着」をどのようにすれば安定させてゆけるかをまとめてみました。人間関係の煩わしさや対人トラブル、心身の不調や不定愁訴、長年の生きづらさなどで苦しまれている方の一助となれば幸いです。 

 

〈ホッとできる”安全基地”の確保〉 

“安全基地”とは、安心安定なところで、心の支えとなる存在、何かあった時に頼れる居場所です。ご両親や家族、パートナーや友人、医師やカウンセラーなど安心してなんでも話せる第三者とつながりをもつことが大切です。無条件に受け入れてもらえる第三者との温かく信頼できる関係が「愛着」安定化への重要なポイントになります。過去の心の傷や今感じていることなどを語りに語ることによって、それを共感的に聴いてもらうことによって、深い癒しがおこります。心の傷が修復していきます。 

 

〈シンプルに今ここに打ち込む〉 

仕事や勉強、家事や趣味に没頭することで、より実践的なシチュエーションに適応する能力がおのずと養われます。生活のリズムが心身の時計を調整してくれる効果もあります。達成感や自信にもつながっていきます。”安全基地”では安心できても、実際の現実生活では、予期せぬできごとや突然の困難にたじろぐこともあるでしょう。どのような状況においても、勇気を持って根気強くものごとに取り組んでいくしなやかさが育まれます。語るだけではなく、日記を書いたり、詩を詠んだり、絵を描いたり、何か創作すること、歌ったり踊ったり体で表現すること、スポーツや動植物などとの触れ合い……大好きなことに打ち込むことも、カタルシスをもたらします。カタルシスとは、心の中で凝り固まっていた、もう不要となった感情が浄化されていくことです。心の奥底に緊張していた何かが解放されて安心感に包まれてゆく感覚です。 

 

〈心地よいマインドフルネスの習慣化〉 

瞑想やヨガなどを通して、今ここにあるご自分をありのまま受け入れる習慣づけをします。批判的態度ではなく、良い悪いなどの判断もなく、客観的に俯瞰して中立な立場で自分自身を眺めている感覚です。フラットな視点で自分の気持ちを感じられるようになると、不安や緊張感、イライラや焦燥感などにさいなまれることも軽減していきます。ご自分が本当に望んでいらっしゃる心地よさを自分で創り出せる、選択していけることが体感できるようになってくると、心身もより軽やかになり、生きやすさにもつながっていきます。 

 

 〈柔軟な想像力の強化〉 

瞑想やアファメーション、祈り(特定の宗教とは無関係)などを通して、ご自分が本当に望むことは何なのかを知り、心から望む未来を思い描き、先取りして体感することで、課題解決や夢の実現を加速させます。漠然としていてよくわからなかった、本当に自分に気づき始めると、自分のことを大切にできるようになるのと同時に、身近な大切な人への優しさも増していきます。優しさは相手のことを想うことから生まれます。思いやりの心を持つ人ほど、相手のことを傷つける言動に至りづらいだけでなく、自分を孤独な状況に追い込むことも少ないと感じます。ご自分の交錯する気持ちを、少し離れたところから客観的にみる力がつくと同時に、相手の気持ちも察する力がついてくることで、広々とした視野で物事を捉えることができるようになり、コミュニケーションもスムーズになってきます。かつて傷ついた「愛着」のパターンを、現在の人間関係でも繰り返していることに気づくことによって、複雑に絡み合った心のねじれが解消されていきます。不満と失望、怒りと悲しみの人生が、感謝と希望、喜びと慈愛に満ちあふれた日々へと変革していくのを感じることでしょう。 

 

〈安心な安全基地になる〉 

クライアント様ご自身が大切な誰かの安全基地なることで、相乗効果が生まれます。愛着を安定させる方法は、遥かかなたにあるのではなく、ご自分の身近に、あなたの中にあるのです。愛着の問題を克服することは、自分が生きやすくなるだけではなく、あなたの身近な大切な人も生きやすくすることにつながっていきます。大切な人を癒すことは、自分を癒すことにもなるのです。暗闇の中にいる誰かのために火をともせば、自分の周りもパッと明るく、ほっこりあったかくなるように。 

 

 

〈まとめ〉 

カウンセリングを受けても他人の悪口や社会への不満などばかり言い続けたり、病院に行って薬をもらって服用しているだけでは、おそらく根本的な「愛着」の安定化は難しいでしょう。長年生きづらさを抱えてきた私自身の経験からもクライアント様の事例においてもひしひしと痛感しております。これまでのやり方や思考で、今の現状が創り出されていることがおわかりになってくると、今までのご自身の言動のくせを改善し、新たな行動を自ら開始してゆくしかないかないということを痛感されることでしょう。言い換えますと、この人生のほんの少しの時期に集中して、腰を据えてご自身と向き合おう、幸せになるために変わるんだと決心されたのでしたら、もう「愛着」の安定化への道を歩まれているのと同じことだと思います。その途中で、迷われたり、疑問をもたれたり、立ち止まってみたりすることも含め、確固たる幸せへの過程だと思います。辛く苦しい想いをされているあなたの心の傷が早く回復し、本当に幸せだと感じることができる人生を創造されてゆくことを心から願いつつ締めくくりとさせていただきます。 

最後に、私がご提供させていただいているカウンセリングでは、クライアント様の具体的な現状やご希望に合わせ、柔軟に相談させていただきながら臨機応変に進めております。 

  

なおここに記載したのは、ほんの一例であり、さらに詳しくお知りになりたい方は、以下の〈参考文献〉などをご参考にしていただければと思います。 
 

〈参考文献〉 
岡田尊司「愛着アプローチ 医学モデルを超える新しい回復法」 角川選書 2018 
岡田尊司「愛着障害の克服 愛着アプローチで、人は変われる」光文社 2016  

岡田尊司「愛着障害 子ども時代を引きずる人々」 光文社 2011 
米澤好史「やさしくわかる!愛着障害」ほんの森出版 2018

 

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